三階病棟で、じい様に「缶コーヒーが買いたい」と訴えられた。

91歳のじい様で、右手に杖を持ってる、かなり足取りが不安なじい様だ。

残念なことに、ここ階には自動販売機は無い。
エレベーターにでも乗って、一階まで降りてもらうしかない。

そう伝えると、じい様は首を傾げてしまった。

どうやらエレベーターの位置がわからないらしい…。

ちょうど、一回に行く用事があった私は、一緒にエレベータに乗り、自動販売機の前まで行くことにした。

そして自動販売機の前で、別れようとしたとき、また、呼び止められた。

どうやら、買い方が、いまいち、わからないらしい…。

自分を見舞いに来てくれる人に、缶コーヒーでも出してもてなしたいので、買えるだけ買いたい。

そう言って、じい様が私に見せたは500円玉だった。

「缶コーヒー1本は120円だから4本買えますね。どの缶コーヒーがいいですか?」

…とか言いながら、500円玉を投入口に入れ、お好きな缶コーヒーのボタンを押してくれるのを待った。

…が、時間切れで、そのまま500円玉を吐き出される…

投入第二回目、今度はちゃんと時間内にボタンを押してもらえたが、この自動販売機、1回に1缶ずつしか買えない為、じい様がボタンを連打したにもかかわらず、すぐにおつりが出てきてしまう…

「1本ずつしか、買えないみたいですね〜」と、1本ずつ買おうと試みるが理解されず、おつり全てを投入し、再び連打。

ああ〜(T_T)…と、心の中で嘆きながらも4本無事買い終えたのを見届けて、ふと気が付く。

…この人、どうやって4本の缶コーヒーを持って帰るつもりなの?…ていうか、ぜってー無理!

そう思った私は、ビニール袋をもらってくるから、そこで待っていて欲しいと訴えた。

が、じい様…

「ええ、ええ。どうせもって帰れんから、2本あんたにやるわ」

そ、そんな…そんなにまで苦労して買ったものをもらうわけにはいかないよ。しかも、見舞い客来るんだろ?見舞い客〜(>_<)…

再び「ビニール袋をもらってくる」「そこでまってて」を繰り返し、結局1本だけもらうことで、ようやく納得してもらうことができた。

やっかいだけどどこか憎めない…そんなお年寄りにどうも弱い有間なのでした。



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